2019-01-01から1年間の記事一覧

「翡翠城市」 フォンダ・リー著

翡翠を身につけることによって感覚機能を増大させ、怪力や敏捷性などの超人的パワーを発揮することができる「グリーンボーン」たち。 彼らの住むケコン島では街のさまざまな利権を巡って2つの勢力、無峰会と山岳会が凌ぎを削っていた。 ところがある事件をき…

「マンハッタン・ビーチ」  ジェニファー・イーガン著

第二次世界大戦の混乱の中にあるアメリカで女性潜水士を目指す主人公アナと、彼女の人生に影響を与えた2人の男の物語。 1人は母とアナ、障害のある妹を残して5年前失踪した父エディ。 そして父の雇い主で、その行方を知っているはずの男、ギャングのボスで…

「月下の犯罪」 サーシャ・バッチャー二著

本書の副題「一九四五年三月、レヒニッツで起きたユダヤ人虐殺、そしてあるハンガリー貴族の秘史」で挙げられているのは、1945年3月24日の夜に、ハンガリー国境沿いのオーストリア、レヒニッツという村で約180人のユダヤ人が虐殺され、その遺体を同じユダヤ…

「ライフ」 小野寺 史宜 著

大学時代から同じアパートに住み続け、就職はしたものの退職し、今はコンビニや結婚式の代役出席などのバイトで暮らす27歳の幹太。 本書は、特に野望も大きな不満もなく、気がかりといえば上の階の金髪の住民の足音、ちょっと気になっているのは代役で出席し…

「今日のハチミツ、あしたの私」 寺地はるな 著

2年間同棲した安西に連れていかれた故郷で彼の父親に結婚を反対された碧。 彼女は、中学生の頃に偶然出会ったハチミツを手掛かりに、頼る人もいない場所で自分の居場所を求めて孤軍奮闘する。 食べ物をテーマにした小説はどれも好きだ。 登場人物が何かしら…

「ウーマン・イン・ザ・ウインドウ」 上・下 A・J・フィン 著

日課は映画鑑賞と隣人たちの部屋を覗くこと、そしてその合間に高級ワインに耽溺する女性精神科医、アナ・フォックス。 精神科医といっても彼女は部屋から一歩も出ることができず、もっぱら治療は同じ病気、「広場恐怖症」の患者たちが集うサイトでアドバイス…

「誰かが嘘をついている」 カレン・M・マクマナス 著

g 誰かが嘘をついている (創元推理文庫) 作者: カレン・M・マクマナス,服部京子 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2018/10/21 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 読んでいてふと既視感を覚え奥付を確認。 いや、まだ新しいので二度読みしたわけ…

「欲望の資本主義」 丸山俊一,NHK「欲望の資本主義」制作班,安田洋祐

本書は、経済学者である大阪大学の安田洋祐氏がノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ、24歳でチェコ大統領の経済アドバイザーになったセドラチェック、ベンチャー投資家のスタンフォードの3人にインタビューをしたNHKの経済教養ドキュメンタリー「欲望の資…

2年に及ぶ「懸案事項」とそのお別れについて

約2年に及ぶ懸案事項が昨日、一段落をした。 一昨日までずっと私の傍にあった未解決の難問が、唐突に解決済み、となって消失してしまった。 こんな終わり方、想像していなかった。 その懸案事項が片付く、その日が来たら… さぞかし私は嬉しいだろう、飛び上…

映画「自転車泥棒」と一億円のこと

私にとって、先日Twitterで大手ネット通販会社の社長が発表した「1億円プレゼント」キャンペーンとその後の喧騒は衝撃的な出来事だった。 あれは企業の宣伝活動だ、という人がいた。あのキャンペーンに関連するニュースは2~3日トップニュース欄を飾り、今も…

「スウィングしなけりゃ意味がない」 佐藤 亜紀 著

これは第二次世界大戦の最中、ドイツ国内で権力に反抗し続けた若者たちを描く物語。 彼らの反抗の象徴はジャズ。 ジャズこそはナチスという圧力に対抗する手段、ナチスに迎合する大人たちへの面当て、若者を縛るルールからの自由、そして異国の人々との紐帯…