2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

映画「風立ちぬ」

夏目漱石の俳句にこのようなものがある。菫程な小さき人に生れたしこの映画を観た後に思い出したのは、漱石のこの句のことだった。 漱石は自分の持つ優秀さ、天才性に恐れ慄いた瞬間があったのではないかと思う。 そしてそれを誇りに思う一方で、それを頼り…

「ジェイコブを守るため」 ウィリアム・ランディ 著

父が息子を守る。ただそれだけなのに、残酷な、ひたすらに残酷な物語。 子育てをしている人にとって、この本はかなりキツい本ではないかと思う、特に14〜5歳の子供がいるなら尚更。 目の前にいる我が子が「僕はやっていない」と言うなら何があっても信じたい…

映画「天使の分け前」

ウイスキーなどの熟成中、樽の中では毎年2%が空気中に蒸発してしまうという。その蒸発分が「天使の分け前」。それは、人の決めたルールを超えて授けられる幸運、そして人が人に与える見返りを求めない優しさ。 様々な機会に若者の話を聞くことがある。 「…

「ゴールデンボーイ」 スティーヴン・キング 著

モダンホラーの帝王スティーヴン・キングが描くバラエティに富んだ中編集、春編と夏編のテーマは「希望」と「転落」。本書「ゴールデンボーイ」は、スティーヴン・キングの中編4作を2冊に分冊したうちの1冊で、春編「刑務所のリタ・ヘイワース」と夏編「ゴー…