2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「6人の容疑者」上・下 ヴィカース・スワループ 著

これは、奇妙ですばらしく、そして最高の人間と最低のやつらがいて、嘘みたいな優しさとけた外れの残酷さを目にする、そんな物語。 大企業であるラーイ産業グループのオーナーにして、ウッタル・プラデーシュ州の内務大臣の息子であるヴィッキー・ラーイが、…

「選択の科学」 シーナ・アイエンガー 著

今回は書評というよりも、「選択」について日頃考えていることについて書いてみたい。 この本を読んで、大学院で「ナラティブセラピー」について学んだ時のことを思い出した。 この本は選択そのものの適否について論じた本ではなく、選択をしたあとの、その…

「くちびるに歌を」 中田 永一 著

男子も女子も、それぞれが身体を楽器にして声を出す。音が混じり合い、糸をより合わせるように一つになる。キラキラしたものを眺める、その心地よさ。この本はその心地よさで出来ている。 同じ制服を着て、同じ場所で一緒に歌っていながら、メンバーの一人一…

「ベヒモス」 スコット・ウエスターフェルド 著

2作目の舞台はイスタンブール。主人公アレックとデリン(ディラン)は、このスルタン統治が末期を迎える混沌の街を、革命軍の少女、そして才知ある人造獣ボブリルと共に、革命を成功させるため、そしてリヴァイアサンを救うため、大活躍を見せる。 楽しみに…

「からのゆりかご 大英帝国の迷い子たち」 マーガレット・ハンフリーズ 著

著者が明らかにした余りにも重い事実と、彼女が挑んだ絶望的な戦い。正直「大変な本を読んでしまった」という感想。しかしこれは間違いなく、語られるべき、聞くべき、読むべき物語だ。 子供の頃、夏休みは母の実家に長期滞在するのが毎年の行事だった。 7人…