2013-01-01から1年間の記事一覧
20世紀初頭のドイツで発明され、かのワーグナーが重用したという伝説的な楽器ながら、今では弾かれることもなくなったヴィオラ・アルタ。遠い日本で見つかったこの楽器の出自と足跡を追う心踊る旅。 最近滅多に手に取ることの減った楽器を久しぶりに使ってみ…
現代における最高の賢者たちへのインタビュー集。彼らの目に世界はどのように映り、今後どのような方向に向かっていると見えているのか。6人6様の回答が私たちの思考をより深く、より広く拡張してくれる。 東日本大震災以来だろうか。 周囲の人と話をして…
漢(おんな)の人生にはたくさんの戦さがある。伊藤比呂美さん流の覚悟と矜恃に満ちた「漢(おんな)たちのための軍記」。 女の人生には、思いがけない事件や出来事が次々に起こる。 それぞれの年代に特有のトラブルや悩み、身体の変化…たくさんの「なにこれ…
失ったものを人と一緒に数え上げる時、失くしたものを嘆き合いながら、私たちは優しさを互いに交換できる。私たちは、川の流れの中で、何かを失いながら、少しずつ優しさを学ぶのかも知れない。 旅の始め、私は何も持たずに出発した。 今はたくさんのものを…
グラント警部が発見したのは、時の権力者たちや民衆によって、都合よく書き換えられる「物語」と、精一杯生きた1人の不幸な男性の姿だった。「真実は時の娘であり、権威の娘ではない」。まさに、フランシス・ベーコンのこの言葉ほど、この作品に相応しいもの…
一度死んだ人間が生き返り二度目の生を生きるという、少々SF風、オカルト気味の不思議な現象をモチーフにしながら、著者の主張は、しごく真っ当でオーソドックス。一度きりの生のかけがえなさだ。 すでに亡くなった人が突然、なんの前触れもなく甦る、そんな…
勇気と知恵で苦しい仕事を乗り越え、ナイーブな若い女性が回収率を糧に、どうやって督促という仕事に理念を見つけ企業人となれたのかを描いた本。健気さに打たれつつ、貸金業界の矛盾に苛立ちを覚えた。 著者は就職氷河期の最中、ある金融機関(某クレジット…
小学生の時から精神的な病を抱え、やっと出会った愛する男性と暮らしながら、今度は歩道橋から飛び降り自殺を図る。一命を取り留めたものの顔面は破壊され、片目の視力を失った著者が、それでもまた「生き直す」、その日々をマンガで描く。 衝撃的な作品だっ…
愛おしい、優しい家族の物語が最後の最後で反転するのは、家族はいつまでも同じ形ではいられないという哀しいさだめを表しているのかも知れない。いずれにしても、いつもより長く家族とともに過ごしたお正月。このかけがえのない存在たちとも、いつか別れが…