「世界一素朴な質問、宇宙一美しい答え」 ジェンマ・エルウィン・ハリス 編

数千人の子どもたちから募集した素朴な質問に、科学者や哲学者、オリンピック選手などその道の専門家たちが時には真剣に、時にはユーモアをもって、時には深い洞察を交えながら答える。宇宙一美しい答え。それは、愛のこもった子どもたちへの希望と祈りなのかもしれない。


「月はどうして光るの?」
「どうしてお金はあるの?」
「ミミズを食べても大丈夫?」
「夢はどんなふうに生まれるの?」
「どうして音楽があるの?」


数千人の子どもたちから募集したこんな素朴な質問に、科学者や哲学者、オリンピック選手などその道の専門家たちが時には真剣に、時にはユーモアをもって、時には深い洞察を交えながら答える。
いずれも幼い頃、誰しもがふと疑問を覚えたことではないだろうか?


私の幼い頃も同様で、ひっきりなしに人に質問ばかりしていたそうだ。
けれど、生活に追われて忙しい両親はかなり閉口していたらしく、そんなある日、家に大きな荷物が届いた。
全10巻以上ある百科事典。
家計にはかなりの負担だったのではないかと思うが、それよりもはるかに質問地獄がうるさかったのだろうし、私の質問はどちらかと言えば勉強が苦手な両親のプライドを脅かしていたのかもしれないと今は思う。
以来、質問するたびに「百科事典で調べなさい」と言われ続けた。


この本のどの質問も単純でいて深い。
だから、回答者の答えは言葉を選び、例えを選び、たくさんの苦心に満ちている。
答えのいくつかには「えーそうだったの!」という驚きやワクワクするような発見があり、いくつかにはじんわり涙が浮かんでしまうほどの誠意と愛情を感じた。
ふと気づく。
大人の回答のいくつかは、自らの子供時代に向かって語りかけているのではないかと。
そしてまた、彼らの答えは子どもたちへのエールに溢れていることにも。
「頑張って!もっとスマートな答えは君が探すんだよ!」
宇宙一美しい答え。
それは、大人たちから子どもたちへの愛情のこもった希望と祈りなのかもしれない。


書物は今も私の師であり、友である。
いろんな疑問や苦しさの答えが本の中にあった。
無理をして百科事典を買ってくれた両親には本当に感謝している。
だけど時々、私は自身が自分の子どもたちを可愛がるように、時を遡って幼い私を可愛がってあげたい、と考えることがある。
一緒に「月はどうして光るの?」という不思議に回答を探しながら、ふと2人で夜空を見上げ、月が、地球上の山を野を川を家々をぴかぴかと照らしている光景を眺め微笑み合う。
その時、大人の私と子どもの私は、質問と答えを得て十全となるのだ。



世界一素朴な質問、宇宙一美しい答え: 世界の第一人者100人が100の質問に答える

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