「パリのすてきなおじさん」 金井 真紀・広岡 裕児 著

おじさん好きを自称する金井さんとパリ在住の案内人広岡さんのパリ、おじさんを訪ねる旅。
一見軽い調子に見えるが、実際にはテロや移民問題で揺れるフランス、パリの現在が垣間見える貴重なレポートで、一人一人のおじさんとの触れ合いに「多様性」という言葉が何度も頭に浮かぶ。
みんな同じフランスという国に住んではいるけれど、人種も宗教も職業も年齢もばらばらなおじさんたち。
どの人にも語るに足る物語があり、どの人も自分らしく生きるという気概を持ち、どの人も人に優しくすることの価値を知っている。
もちろん人選の妙はあるとは思うけれど、あとがきにあった案内人である広岡さんの

「この旅は、人間というもの、生きるということの破片を集める旅だった。」

という言葉が本書の本質を表しているような気がする。

本の帯は4種類、どのおじさんを選ぶかはあなた次第、というのも楽しい。

パリのすてきなおじさん

パリのすてきなおじさん