「モダンガールのス丶メ」 淺井 カヨ 著

あなたもわたくしも、大正〜昭和を楽しんで、ス丶メ!モダンガール!

本書の著者、淺井カヨさんは大正65(昭和51)年生まれ。
小学校低学年の時に日本大正村博物館明治村に家族と訪れて以来、當時の建物などに魅せられ、つひには大正末期から昭和初期の時代の研究、実践、交流を目的とした「日本モダンガール協會」を設立。
そして「當時に近附きたい!」と昭和初期の住居で暮らし、氷を入れる方式の冷蔵庫を使ひ、當時のモダンガールの装ひを纏ひ、モダンガールになりきって暮らしてゐるとのこと…。


ふう…本書は全文が旧仮名遣いで書かれており、私もそれに倣って旧仮名遣いで書評を、と思ったのだが、やはり苦しい。
申し訳ないが現代語で紹介させていただく。


本書は著者が大正〜初期の昭和LOVEの気持ちを全開にして当時のファッション(着る!)、当時の住居(住む!)、当時の生活用品(使う!)、当時の音楽や映画(聴く!観る!)、モダンボーイ(見つける!)、そしてモダンガール(なる!)を思い切り追いかけてみようという情熱あふれる一冊である。
掲載された天然色の記帳図版は二百点余。
モボ、モガたちの当時の姿はもとより、著者の住む昭和イズムに満ちた下宿の様子や大正・昭和ロマン漂う装いに身を包んだ著者の姿、アイスクリーム製造機や炭アイロン、瞬間タオル蒸し器などの聞いたこともないような生活用品など貴重な品々が惜しげもなく総カラーの美しい写真で披露される。


この本から伝わるのは、著者の「好き」という気持ち。
一頁、一頁、決して他人に押し付けるわけではなく、でも正面から自分の「好き」を伝えようとしてくれる、謙虚な、けれど誇らしげな著者の気持ちが伝わってきて、それがとても心地よい。
もちろん「好き」だけで生きていくことはできない、とは思う。
けれど私は、寂しい時、つらい時、悲しい時、「好き」という道連れとともに生きていけたなら、それはかなり幸せな人生だと思うのだ。


モダンガールのスヽメ

モダンガールのスヽメ