自殺を防ぐのは柵なのでしょうか?

今日、asahi.comでこんな記事を読んだ。

「橋からの飛び降り、柵で防げ 住民要望で県設置 三重」
2011年2月13日15時33分
 歩道を伴う橋では三重県内で最も高く、飛び降り自殺が多かった伊賀市の要石(かなめいし)大橋に、県が高さ2.25メートルの落下物防止柵を設置した。国の設置要領に沿って橋の一部にしかなかったが地域の要望を受け、177メートルの全体に設置された。「自殺が多い場所には、自殺した人の何倍もの人が自殺を考えて訪れる。簡単に飛び降りられるのと、高い柵があるのでは全然違う」と住民らは話している。
 要石大橋は、同市の川上ダム建設工事に伴う県道の付け替え道路の一部で、2004年10月に供用が開始された。谷底まで約50メートル。国や県が管理し、歩道を伴う橋では三重県内で最も高い。05年〜昨年5月、名張署は8人が飛び降り自殺したとみている。
 橋には片方に歩道があり、歩道側に高さ1メートル、車道側に75センチの防護柵がある。その外側に落下物防止柵があったが、長さは歩道側で28メートル、車道側で64メートルしかなかった。
 地元自治会や伊賀市は06年以降、県に落下物防止柵を橋全体に設けるように要望。09年夏には自殺防止対策協議会を設け、市職員や住民の毎日の防犯パトロールで、橋も見回る対象に加えた。
 県は当初、橋の下に鉄道や道路がある場合などに設ける落下物防止柵を全体に広げることに消極的だった。しかし、「自殺や未遂が絶えず、住民からの要望も強い」(県伊賀建設事務所長)と09年度に方針転換。昨夏から約2150万円をかけて防止柵の追加工事をし、昨年11月完成した。地元の桐ケ丘自治会の会長(65)は「新しい柵ができた後は自殺や自殺未遂の報告はない。住民も安心して歩ける」と話す。(中略)

(個人名などは削除しています)


最初にこの記事を読んだ時、なんだか違和感を覚えた。
再度読み直してみて、多分「橋からの飛び降り、柵で防げ 住民要望で県設置」「新しい柵ができた後は自殺や自殺未遂の報告はない。住民も安心して歩ける」このあたりに引っかかっているのだろうと自己分析。

自殺する人は、新しい柵ができたら、その橋ではない別の場所を探して死のうとはしないだろうか。
柵はその橋で自殺する人を減らすかも知れない。
でも、自殺したいと思う人を減らす役に立つのかな。
人は柵がないからその橋で自殺したのだろうか。
柵があったから自殺しなかったのだろうか?
その橋で自殺する人が減って、「住民は安心」なの?
心ざわめく人はいないのかな?
多分、いると思う。
遠くに住んでいる私の心もざわめいているから。

おそらく住民の皆さんにはそんな気持ちは無いと思う。
ただ、記者の方の記事のまとめ方に、「住民の力で行政を動かして、安心して歩ける橋を手に入れたよ。とってもよかったね!」というニュアンスを感じて、ちょっと違和感を感じたのだ。ただ、それだけ。